ときめきメロディー

ジャンル:RPG (作者の自己申告ジャンル:クソゲー)
プラットフォーム:Win95/98 (RPGツクール95作品)
作者:H&Kサファリパーク様
種別:コンテストパーク入賞作品(フリーソフト)
ダウンロード先:コンテストパーク過去の受賞作品
入賞歴など:コンテストパーク99年4月度銅賞(10,000円)、98年度年間ランキング6位

ゲームの内容:新しい街に引っ越してきた家庭の少年「藤谷」の元に、 とある雷雨の夜、美女がたずねてくる。しかし、それは悪夢の始まりだった。 彼をたずねてきたのは実は美女では無く、一二三(ひふみ)という名の、 あまりにも形容しがたい容姿をしたセーラー服の女。
実は藤谷は見知らぬ街にワープしており、そこから戻るためには7枚の石版を 集めなければならないと言われる。もし、戻ることが出来なかったら 藤谷に一方的に惚れた(片思いと言うにはあまりにも壮絶!)一二三から 一生逃れることは出来ないだろう。
果たして藤谷は、石版を集め、無事に元の世界に戻ることが出来るのか?


言葉を失うほどの衝撃

まず・・・・この文章を読んでいる貴方がまだこのゲームをやっていなかったと する。上の「ゲームの内容」を読んでみて、どのような印象を受けただろうか。 大方の感想は、「え、これ、恋愛ゲームじゃなかったの?そういうタイトルだし」 ....だまされてはいけない。

一般にコンテストパークのシステムとして、応募作はまず1ヶ月ノミネートされて、 そこで紹介文と画面写真1枚が載り、一般の人が、それらの情報をもとに 自由にダウンロードしてプレーすることが出来るようになっている。 (その後、プレーした人が感想を自由に デジファミ編集部に送ることが出来、それも参考に審査が行われる、 というシステムなのです。)
このゲームのノミネート時の画面写真は、美女の一枚絵であり、 タイトルも美少女がたくさん出てくることを予想させるものだったため、 美少女系ゲームが好きな人の多くがダウンロードしたものと思われる。
そして喜び勇んでスタートし、最初の美少女イラストに歓喜した数分後、 不意にバットで後頭部を殴打されたような衝撃 を受けたと言う。

残念ながら僕は、当時はツクール系掲示板を見ていなかったので、リアルタイムで 見られなくて残念だが、人から聞いた話では、当時のツクール系掲示板の このゲームをプレーした人の騒ぎの大きさは、ものすごいものがあったそうである。

ジャンル:クソゲー(自己申告)

さて、これは僕の定義で申し訳ないのだが、「バカゲー」 とは「作者が意図的にプレイヤーの腰砕けを誘ったか、あるいは何らかの理由で プレイヤーに作者の意図しない爆笑を誘ってしまったゲーム」であり、 一方「クソゲー」とは、「作者の手抜きや手落ち、 または作者のマゾヒズムなどの結果、バグや劣悪なゲームバランスでクリアが 困難であるかプレイヤーに著しいストレスを与えるゲーム」と言う風に 位置づけている。

この定義からいくと、ときメロは、クソゲーではなくバカゲーなのではないか、と お思いだろう。確かに定義から行くとそれは正しい。ゲームバランスも それなりに取れているし、謎解きもバランスがよい。以上よりクソゲーではない。 一方このゲームでのすさまじいまでの演出は、全て作者の意図したものである。 以上よりバカゲーである。・・・・・しかし、そのような論理を 全て突き破って、ときめきメロディーはすべからくクソゲーなのである。
なぜなのか?

クソ"な"ゲームではなく、 クソ"の"ゲーム

そう、このゲームでは、シナリオのいたるところでう○こが出てくるのである。 というより、 シナリオの中にう○こが出てくるのか、 う○この中にシナリオが出てくるのか微妙なレベルまで 来てしまっている。
先ほど出したひふみという名の女。こいつがその元締めである。 こいつは、 屁をこいて、実を出てしまうわ、 バーゲンの服にう○こを付けてしまう(触るとダメージ)わ、 あげくの果てには、主人公に向かって「食べて」と便を差し出してくる始末。
そうでなくても街のいたるところにう○こがあり、 しまいには主人公はう○こで満たされた小宇宙を 探検しなければならない不運さ。

どうだろうか。これをクソゲーと呼ばずして何と呼ぶ。
美少女ゲームを期待した御仁が、このような展開に出くわしたときの 衝撃は言わずもがな、だろう。文字どおりまさに衝撃の一作 である。きっと、この衝撃に耐え切れず、卒倒した人や、発狂した御仁が続出したことであろう。
なるほど、掲示板で、このゲームに対するすさまじい感想が書き込まれていたと言うが、 全く納得がいった。

凄まじいまでの作者の情熱

しかし、このゲームを最強で最凶のクソゲーに 仕立て上げているのは、何といっても、並々ならぬ作者のこのゲームにかけた情熱と労力である。

もし、このゲームのバランスが悪かったり、バグのためクリア出来なかったりすれば、 プレイヤーの側も「なんだ、だめじゃん」と言い訳をして、ゲームをやめて、 この凄まじいゲームのことを 永遠に記憶から抹消することは出来たはずである。
しかし、このゲームはその隙すらプレイヤーに与えなかった。 ゲームバランスはいい。バグも僕が一度やった限りでは見付からなかった。
もはやプレイヤーに逃げ場はない。
プレイヤーは、凄まじさに発狂するか 開眼して「このゲームは真のクソゲーである」と認めるか 2つしか道はないのである。
そう、このゲーム、作者の圧倒的な勝利である。 作者達のホームページの「ときメロ顛末記」によると、このゲームは1ヶ月と言う 制限のもとで作られたと言う。にも関わらず、恋愛ゲームを彷彿とさせる音楽や、敵キャラの 目、鼻、口が各々よだれをたらしたり色々する凄まじい戦闘画面といい、 プレイヤーにとどめをささんばかりの世界観の凄まじさを助長する演出。

テクニカルノックアウト。私負けましたわ。

コンパク史に残るゲーム

はっきり言いましょう。このゲームは アマチュアゲームの歴史に残ります。
このゲームをノミネートする時にチェックをしたデジファミのスタッフは どのような気持ちでテストプレーをしたのでしょうか。 作者の一人は、受賞時のコメントで「ノミネートすらされないと思っていた」と いいますが、デジファミのスタッフによってはそうなっていたかもしれません。 いや、もしかしたらO貫さんこむこむさん(注:デジファミの スタッフの方々です)あたりの人たちで 「ときメロをノミネートするかどうか」で緊急会議が開かれていたかも しれない、と邪推してしまいます。

しかし、考えて見てください。 本来アマチュアクリエイターの使命というのは、「プロが到底 作れないような視点から作品を作ること」だったのではないでしょうか。
当時のコンテストパークでは、よくも悪くも、セミプロのように 「プロの作品をまねており、ゲームとして面白いのは間違いないが 突き抜ける個性に欠けている」作品が 多かった気がします。
ときメロは、そんな中で忽然と 現れた覚醒の毒だったといえます。

すなわち、一度こういうのがオンになってしまえば、後の人はバカゲーを 出すことができるようになるのです。きっとデジファミの大貫様も、 以後は以前のように緊急会議を開かずに(もう、緊急会議を開いたものと 決め付けてしまっている)済む訳です
何事も最初にすることは素晴らしいことです。
それをあまつさえ入賞させるレベルにまで昇華してしまったわけです! みなさん、この偉業(異業)を、ぜひとも高く評価しようじゃありませんか! (投石)。

最後に。現在続編が制作中であると聞きます。ゲーム制作のSTUFFの方々、ぜひとも制作頑張って、僕たちをまた 開眼させてください!


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