コープスパーティー

ジャンル:アドベンチャーゲーム
プラットフォーム:PC-9801/21 (Dante 98作品)
作者:祁答院 慎様
種別:フリーソフトウェア(A-CON受賞作品)
ダウンロード先:A-CON2受賞作品のページ
入賞歴など:旧コンテストパーク入賞(ソフコン6号,賞金153,851円)、 A-CON2 最優秀賞(\5,000,000)
備考:攻略サイトあります。「深夜症候群」

ゲームの内容:学園祭の準備のため、夜の学校に残っていた5人。 怪談話で盛り上がっていたが、突然見知らぬ場所にワープしてしまう。 そこは異次元にただよう過去の学校。そこで尽き果てた魂が怨念となり 主人公達に襲い掛かろうとしている。5人は2グループに分かれて この世界から脱出する手段を見つけていく....。
全編巧妙なる演出でプレイヤーを恐怖から逃れさせない名作。


ホラーものは勘弁してください(個人的に)

まず最初に断っておきます。 僕はホラーものが本当に苦手です。 正直言って、そんな人間がこの作品の感想を書くというのも いかがなものか、とも思いましたし、ある意味偏ったレビューに なってしまっているかもしれません。 しかし、です。記念すべき13番目に紹介するゲームでありますし、 「ツクール関係者でこの作品をやらない人はモグリだ」 とまで言われるくらい有名な作品ですから、恐怖ものは勘弁といいつつ プレーした以上、何か書きます。でも、恐怖ものは全くプレーしたことがないため、 レビューではなくインプレッション(感想文)ってことで、 お願いします。

さて、僕はこのゲームの初プレーは友達Sと2人でやりました。 一人では怖くてプレーできませんでした。 それどころか、2人でやったにもかかわらずそれでも僕は震えています。 当然ですが、やろうと言い出したのは僕ではありません。 ソフコン10号を見ていて、友人Sはこの手のやつが好きだったらしく 半ば強制的にやらされた、としかいえません。

結論から言うと、ホラーものとして秀逸なため、僕を恐怖のどん底に陥れる結果となりました(涙)。 しかし一方で、まさに僕が感じた言いようのない恐怖によって 間違いなく名作であることを確認しました。 やらなきゃらよかった、でもやってよかった。

さらに、他のとある友人Kは、「コープスパーティーは、 夜中に一人で電気を消してやるのが正統派」などとのたまわっておりました。 どうやらこの意見が主流になっておりますが、僕には出来ません。
頼むから恐怖モノは勘弁してください、お願いですから(涙)。

演出が秀逸すぎてどこまでも執拗に怖いです

そういうわけでプレーしました。ファーストインパクトは、「演出が秀逸」ということでした。 演出だけでなくグラフィック、音楽、効果音、全て最高レベルなのですが、 それらの相乗効果で恐怖倍増です。勿論、ホラーものとして素晴らしいことです。 当然、僕にとっては本当に寿命をすり減らされる気持ちです(涙)。

まず、グラフィック。マップパーツは これでもかというくらい生理的にいやーな感じのオブジェで 満たされていて、ものすごく感じが出ています。 それらのオブジェを調べたときに表示されるテキストもこれまた凄まじい。 これらの相乗効果も相まって、マップパーツ関連は、最強にきわまっています。 サイズは24x24、あまつさえ16色なのですが、 それでも演出の凄さとドット絵のテクニックで、グラフィックのかもし出す雰囲気は 最高に秀逸です。

そう、マップパーツに限らず、グラフィックは美麗です。 5人のメンバーにそれぞれ顔グラフィックが使われていますし (Dante98には顔グラフィック機能がないので、これだけでも凄い)、 魔方陣とか裂け目とか、パーツの種類がきちんと「最小限のパーツで最大限の演出」を してしまっているのが脱帽です。

そしてテキストも凄いと申し上げましたが、とにかく 文章を読んでいるだけで僕はもうめまいがしてくるのです。 アイテムなどのネーミングセンスも凄すぎます。 アイテムを入手しても、その時の効果音が気味が悪いし、 アイテムの名前も、「血塗りの〜」とか「黄色い液体がたまったバケツ」とか、 「血肉腐臭の〜」とか。 もう、一瞬も緊張をほぐさせてくれません。
さらに、廊下の壁を見ると、張り紙が。「服装の乱れは心の乱れ....」なんか 普通でほっとするなあ、と思っていたら次の瞬間、メッセージが変わって 残酷な文章が!!!うわぁぁぁぁぁぁ!!!(発狂)
まぢ、怖いです。もし、現実にこんな世界に行ったら、僕は発狂して、 悪霊の仲間になっていることでしょう(涙)。

選択を間違えるとメンバーが死ぬ

さらに強烈なフィーチャーとして、「選択を間違えると仲間が死んでしまう」という システムになっております。しかも死に方があまりにも壮絶です。

最初に友人Sと一緒にプレーしたと書きましたが、この時主に選択は友人Sがやっていたのです (自分の選択で誰かが死ぬなんて、僕には耐えられません!)が、 結果的に一人も死なせることはありませんでした。 友人はかなり運が良かったのだと思います。あるいは、彼は僕なんかと違って相当に 品行方正なので、普段の行いがよかった、ということなのでしょう。

一方、僕が一人でプレーしたとき....死にましたよ、二人(涙)。 いたたまれなくなって、そこでプレーをやめてしまいました。作者さん、ごめんなさい(涙)。
ていうか、特に理科室は勘弁してください。あの演出は怖すぎます。 (後で知ったのですが、理科室は行かなくてもいいらしいです。) とにかく、凄まじく重たい気分になります。

僕は、他の恐怖ゲームをやらないので、詳しい話は知らないのですが、この作者さんは スウィートホームに感銘を受けてこの作品を作られたそうですが、やはりスウィートホームも こういったどんどん人が死んでいくゲームなのでしょう。まさに壮絶に緊張感を 与えているといえます。(でも僕には荷が重過ぎました、ごめんなさい(涙))

終盤、ラストまでの壮絶な道のり

とはいえ、友人と一緒に、一度はクリアしているんですよ。で、その普段の行いがよかったため 一人も死なせずに済んだ友人と一緒にエンディングを見ました。

エンディングに至るまでのあの道のり....もう僕の中ではトラウマ寸前であります(涙)。 怨念にとりつかれた少女との戦闘が終わって、「一番目の鐘が鳴った」 「二番目の鐘が鳴った」....うかうかしていられません。
「絶対に後ろは振り向いてはいけません」似たようなエピソードが 何かの神話にあったはずですが、もう少しで帰り着くときについ 後ろを振り向いて全てがだめになる、って話だったと思います。 今回、「後ろを振り向いちゃいけない」をこともあろうに 僕が操作しなきゃいけないんですか!?
もう、ここいらのラストでは心臓がバクバクいっておりました。

ただ、ひとつ残念なのが全員生き残ってもあんまりハッピーエンドじゃないこと。 この調子では、自分のプレーで2人死んだ時のエンディングはどうなるんだろう、 怖くて見られませんでした。
前述のとおり他のホラーものは知らないのですが、他のゲームもあまり ハッピーエンドじゃないのでしょうか。僕としては、せめて最後くらい、 ハッピーエンドにして欲しかった....と思っています。

人はなぜ恐怖を求めるのか

まぢで泣きそうです。逆にいうと、それだけ中途半端でない秀逸な恐怖ものだと いうことです。恐怖モノファンにはたまりません。僕のようなヘタレだと 泣きそうです(涙)。 そもそもなぜ皆、恐怖モノを好んでプレーするのでしょうか。

僕はこの疑問について、ずっと考えさせられました。 そういえば一緒にプレーしたその友人というのが、恐怖ものが好きらしく、 僕は彼から「ベルセルク」という 漫画を見せてもらったりしたんですが.... なぜこのタイトルを挙げたかというと、個人的にコープスパーティと 通じるところがあるんですよ。 ベルセルクで僕が印象に残っているのは、とにかく死体の山。 そして骸骨。それだけでした。 シナリオもかなりすごかったのですが、死体のインパクトがすごすぎました。 一方、コープスパーティの死体はどうでしょうか。 1キャラ分なのに、残酷さが凄まじく表現できています。 ちょうど、僕がベルセルクで感じたあの 背筋がぞっとする感じと一緒でした。(ベルセルクの方が後なんですけどね)
たった1キャラでここまでインパクトのある死体が描けるって、凄いことだと思います。

さて、その友人、結構僕とも気が合う人なのですが、どうして僕は苦手な 恐怖ものが彼は好きなのだろうか、そういうわけで質問してみました。 「なぜこんなもの凄い世界観のものが好きなのか」 彼の答えは、こうでした。

「恐怖を擬似体験することによって、現実がそうでないことを確認し、 安らぎを感じるから」
ちょっとニュアンスは違いますが、彼は 「ああいう恐怖で満たされた世界を見ていると、逆説的に安らぎを 感じる」というのです。これが彼だけなのか、皆も同じような理由なのかは わかりませんが、どういう理由にせよ、人は恐怖を求めているのかもしれません。 そして、恐怖を擬似体験することによって、それを得ているのでしょう。
それではなぜ僕は疑似体験による恐怖を必要としないのでしょうか。 僕は夜中に音がするだけでもびくびくしていて、日常ですでに恐怖を疑似体験 しているからなのかもしれません。恐怖ゲームいらず(死亡)。

恐怖がトラウマになるインパクトの名作

さて、いかがでしょうか。コープスパーティーは、僕というヘタレを ここまで怖がらせてくれました。ホラーもの好きの皆様には、間違いなくお勧めである ことは、そのベルセルク好きの友人Sが楽しんでいたので、そちらも折り紙付です。
音楽、グラフィック、演出、そしてツクールのテクニック、そして シナリオが生み出す恐怖、それらの相乗効果によってもたらされる 比類無き恐怖....。間違いなく最強です。

そう、それらによって生み出される恐怖は、 僕を廃人にするのかというくらい衝撃的でした。 確かに、恐怖に飢えている人にとっては、これ以上無い名作だと 思います。ある意味、究極だと思います。
僕のようなヘタレは無視して、 まだプレーしてない方は黙ってプレーしてみてください。

ちなみに、どうやら恋愛的要素が受けているらしいですが、 残念ながら僕にはそういったものを感じる精神的余裕すらありませんでした。 よってこれは、皆様が実際にプレーして確かめてみるなり、周りのレビューを 見るなりして確認してください。っていうかまだの方はプレーしてください。

取り敢えずこの文章を書いていて、あのおぞましい記憶が呼び覚まされて きまして....気分が悪くなり....
恐怖がこみあげてきました....う ....うわぁぁぁ、やめてくれえぇぇぇ(悶絶死)。


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